火の国まつりはなぜ活性化しないのか?

何年か前に書いたメモが出てきたので、すこしいじって掲載。

  • 問題点
    • 夏祭りとしてのバックボーンがない

伝統ある有名な夏祭りは、疫病よけといった歴史的・民俗的バックボーンを持つ。
火の国まつりの場合、最近になって地域振興のために行われるようになった祭りのため、そのような「物語」に欠ける。

    • 「場」が設定されていない

京都の小規模な秋祭りでも、神社やお旅所などの固定施設があり、屋台が並ぶことによって祭りの「場」が設定される。
しかし、火の国まつりの場合、独立したイベントが個々バラバラに行われ、祭りの「場」が設定されない。
火の国まつりの期間中に熊本市の中心部を歩いても、祭りが行われていることをうかがわせるようなものがほとんどない。おてもやん総踊りに向けて、気分を盛り上げ、祭りに向けた賑わいを作り出す「場」の設定が必要だろう。

    • イベントがバラバラに行われ、それを接続する工夫がない

今年の例では、ステージが二の丸公園、おてもやん総踊りが市役所前から通町筋、花火大会が藤崎台野球場。今年は道路工事で場所が移動したが、例年であれば花火大会は江津湖で行われ、さらに祭りとの関係は薄くなる。

    • 季節感の問題

少し蛇足かも。
藤崎宮例大祭であれば、「随兵寒合」(ずいびょうがんや)という言葉があり、この時期から朝夕冷え込むようになると、季節の移り変わりを感じさせる。
神戸ルミナリエであれば、これも新興のイベントだが、年末、クリスマスという特別な時間に合わせることによって、定位置を確立している。
火の国まつりは夏祭りなのだろうが、そのような季節感を獲得するのに失敗している。

  • 対策

熊本市中心部は祭りの場を設定するスペースが十分にあるとは言いがたい。
しかし、びぶれす熊日のピロティ、市役所前、上通・下通の歩行者天国を利用すれば、最低限のスペースが確保できるのではないだろうか。
市役所から下通までの間の道に屋台・イベント広場などを可能な限り詰め込むことによって、祭りに必要な雑踏を形成することが可能ではないか。28号線を規制するのは無理にしても、裏通りを1.2日規制するのは、今後市が主催するので、努力しだいでは不可能ではないだろう。
また、花火大会も、総踊り当日に藤崎台で開催すれば祭りの賑わいを増すのに有効だろう。花火大会に関しては、火の国祭りから分離して完全に別のイベントとして実行する方向もありかもしれない。
狭いスペースで、時間をつめてイベントを実施することによって、最低限の祭りとしての賑わいを確保することができるのではないだろうか。
正直祭りとしての面白みに欠け、熊本国際コンベンション協会が主催者を返上するなど、凋落傾向にある火の国まつりを活性化させるには、このくらいの思い切った対策が必要だと思う。