大谷内一夫『ジャパニーズ・エア・パワー』

ジャパニーズ・エア・パワー―米国戦略爆撃調査団報告/日本空軍の興亡

ジャパニーズ・エア・パワー―米国戦略爆撃調査団報告/日本空軍の興亡

アメリ戦略爆撃調査団報告の日本の航空戦力についての報告書の翻訳。戦後に集めた情報から、旧日本軍の空軍力の消長を明らかにしている。
ソロモン諸島での攻防までは、日本の陸海軍航空部隊は、高い質を持ったパイロットによって高い戦力を維持していたが、ソロモン戦以降は、パイロットの補充が利かず、戦力が低下していったことが指摘されている。また、地上支援組織の欠陥から航空機が多数失われたことが指摘される。
第二部では航空機の生産・消耗、燃料、搭乗員について扱っている。生産に関しては意外に健闘していたという印象もあるが、航空燃料や搭乗員の補充を見ると、日本が戦争に乗り出す能力が、基本的になかったこと。日本の戦争遂行に、石油の入手が常にネックになっていたことが明らかになる。また、航空機の整備・維持システムの不備、メカニックの消耗については、もっと知りたい。
本書では、カミカゼについて、一章を割いているが、ここに米軍が受けた衝撃が反映されているのだろう。

河辺虎四郎中将(開戦時から、陸軍航空本部総務部長、満州派遣航空軍司令官、陸軍航空本部次長を歴任。終戦時は参謀本部次長)
「これらの攻撃に参加しただれもが、彼自身の死によって最終的勝利を得ること確信し、幸福だった。他の手段との比較では同等(イコール)に見えなくとも、精神的手段では同等に戦える、と日本人は最後まで信じていた」
猪口力平海軍大佐(フィリピン作戦時は中佐で、海軍第一航空艦隊主席参謀)
カミカゼの中心(センター)は士気(モラール)である……連合軍がフィリピンに上陸する直前、われわれは天皇と国家に命を捧げなくてはならぬ、と感じた。これは生まれついたときからの感情だった。(アメリカ人には)よく理解できないことかも知れないし、絶望的(デスペリート)とか、馬鹿馬鹿しい(フーリッシュ)とか呼ぶかもしれない。しかし、われわれ日本人は、生涯の基盤を天応と国家への服従(オピーディアンス)においている。他方、武士道(封建時代の日本の戦士のおきて)にしたがって、われわれは最高の場所を死のなかに追求する。
カミカゼは、これらの感情から発生したのである。……アメリカ式思考法の難点は、帰還することを念頭にいれて出撃することだ。これでは、100パーセント効果的に使命をはたせまい」

そういう自分は生き残っているんだよな。煽るだけ煽っておいて、自分はたたみの上で死んでいるんだからな…
こう言っては何だが、この人たちには、現場での感情的な機微は分からないだろうなと思う。