田中英道・田中俊子「ペゴロッティ『商業指南』:訳と註釈」『イタリア学会誌』33号、1984

http://ci.nii.ac.jp/naid/110002959230/
 ざっと読んだ。
 OCRで取り込んだのか、なんか誤字が多い。
ここで翻訳されているのは、第1章から第8章まで。中国方面への商業旅行、中東方面の情勢、コンスタンティノープルで流通している商品のリストあたりの内容。通貨や度量衡についての記述は省略されている。まあ、このあたり、複雑な上に、正確な量については分からないことも多いだろうから、思い切って省略するのは、正しいのかも。必要なら英訳か何かを参照すればいいわけだし。


 片道3-4ヶ月で中国にいけるなら、結構早いと思った。海路だと、バルト海と地中海を行き来するだけで、一年がかり。インド洋を中東から中国まで行くと、風の関係で2年かかったりするわけだし。モンゴル帝国全盛期なら、ステップルートが一番便利だったのだろう。13,4世紀に、イタリア商人が、黒海方面に盛んに進出したのも良く分かる。取引は、ここでは西から銀を持ち込んで、絹織物を持ち帰るパターンしか記述されていない。それ以外は、ペイしなかったのだろう。
 あとは、コンスタンティノープルの商品のバラエティが興味深い。しかし、100の単位とか10の単位というのが、具体的にどんなものであったかが良く分からない。梱包材の扱いについて、注意が払われているのが、当時の商取引を髣髴とさせる。