佐藤次高『イスラームの「英雄」サラディン:十字軍と戦った男』

 エルサレム奪還の立役者サラディンの伝記。アラブの英雄の栄光と蹉跌。
 これを読んで印象的なのは国家や支配の流動性サラディンの父親アイユーブの経歴を見ると本当にあちこちを動き回っている。また、アイユーブ朝支配の脆弱性も印象的。エルサレムは奪還したものの、最終的な十字軍国家の消滅にはその後100年待たなければならなかった。未完の時代。
 これも10年来の積読。今回すごく面白く読んだが、買った当時は、なかなか読み進めなかったんだよな…