江畑謙介『軍事とロジスティクス』

軍事とロジスティクス

軍事とロジスティクス

 21世紀に入ってからのロジスティクスに関する動向を解説した本。アフガン・イラクの戦闘を巡る教訓と今後どう動いていくか。ロジスティクスに関する動向ががっつり解説されているが、それがために、逆に前の方の記述の記憶があやふやになっていたり… DLAやVCCTだのといった略語が踊るの面倒。たしかに、前部書くと煩雑ではあるのだが…
 RFIDタグとネットワークを利用した、補給の「ジャスト・イン・タイム」化、イラクの不正規戦による地上輸送への脅威と輸送車両の装甲化。民間委託の問題。未来の輸送機器やシー・ベイシング構想がファンタジック。事前集積船の運用については、いろいろ構想が生かされて改善されていくのだろうけど、新型の艦船については無理なのではないだろうか。ズムウォルト級やLCSが軒並み打ち切りモードな現状を見るに付け。建造予算もないだろうし。
 あと、一番最後の章のネットワークによるロジスティクス業務の一元化の動向。軍隊という組織にとって、効率化は諸刃の剣のように思う(非効率すぎるのも問題だと思うが)。クラッキングだの、予測を超えた消耗で破綻する危険が増えるのではないだろうか。当面、ロジスティクスまで打撃を与えられるようなガチな軍事組織との戦争が考慮されていないのだろうけど。