国立歴史民俗博物館編集発行『伝統の朝顔』1999

 江戸時代の変化朝顔朝顔をめぐる文化について、図譜などの資料や工芸品、そして「くらしの植物苑」で栽培されている変化朝顔などで展示したもの。
江戸時代の図譜に描かれている品種・系統がアップで掲載されているのが興味深い。また、実際に栽培されている変化朝顔も含めて、大量の変化朝顔が出ている。これでも、昔より減っているのだからすごい。あと、このあたり遺伝学的な研究の蓄積がなされているそうだが、素人には良く分からない。「青林風尾長爪龍葉白総管弁流星獅子咲牡丹」とか出てきても素人には分からない。遺伝子とか基本を押さえれば、意外と単純なのかもしれないが。
 個人的には、清楚な小型の朝顔が好みだったり。
 第二部ではいろいろな同時代の資料が紹介されていて興味深い。徳利などを再利用した植木鉢が紹介されている。そう言えば、肥後朝顔の起源については、明治の涼花会の結成以前は良く分からないらしい。肥後朝顔は独特の植木鉢を使っているので、考古資料をチェックすればなんか分かるかも知れないと思った。が、熊本市の近世城下町の発掘調査って全然行なわれていないのが、現状なのに愕然とした。古町の発掘報告書があるだけとは。坪井方面とかは、どうも遺跡扱いされていないらしい。築城400年とか城下町とかいって売り出そうとしている割には、全然史跡や町並みの保存には無頓着なのが不思議でしょうがない。もう、新町・古町もマンションにかなり潰されている。まあ、熊本城の域内の屋敷については、発掘もなされているだろうから、このあたりは要チェック。


以下、文献メモ
青木宏一郎『江戸のガーデニング平凡社 1999
岡不崩「古版朝顔書解題1-5」『東京朝顔研究会会報』15、17-20回 1922.24.26-28
平野恵「朝顔品評会の始まり」『台東区史:通史編中巻』1999
米田芳秋『アサガオ:江戸の贈り物』裳華房 1995
渡部好孝『江戸の変り咲き朝顔平凡社 1996
『植木屋のある風景』豊島区立郷土資料館 1993
堀切菖蒲園葛飾区立郷土と天文の資料館 1995