チャールズ・スティーブンソン『英仏海峡の要塞1941-1945』

英仏海峡の要塞 1941‐1945―ヒットラーの不落要塞 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ―世界の築城と要塞イラストレイテッド)

英仏海峡の要塞 1941‐1945―ヒットラーの不落要塞 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ―世界の築城と要塞イラストレイテッド)

 英仏海峡に点在するチャンネル諸島ナチス・ドイツが建設した要塞を解説した本。先に読んだ、太平洋戦争の日本軍の野戦築城に比べると贅沢に作ってある。ただ、本気で攻撃を仕掛けられたら、これでは守れなかったように思える。縦深が不足している。
 しかし、コンクリが足りない、大戦末期には兵士も足りないという状況で、ほとんど価値のない場所によくもまあ、こんなにリソースをつぎ込んだものだ。2万以上の兵員と山ほどのコンクリート、労働力と人命。ちょっと呆れる。実際、戦闘をせずに降伏したわけで。こんなことやってりゃ、そりゃ戦争に負けるよな。(関連:石油もアルミも焦点じゃない。「グロス・ドイッチュラント2」に見る,阿部隆史的第二次世界大戦
 トート機関に動員された労働者、特に強制収容所の無残さ。


ちょっと気になったのが、4ページのフランス王が「フィリップ・アウグストゥス」と表記されていること。普通これってフランス語読みで「フィリップ・オーギュスト」って書くよね。専門外の人が訳したのだろうし、こういうこともありうるのだろうけど。