「国内唯一の「回転変流機」群馬へ寄贈 展示:熊本市交通局最近まで市電に使う」『熊日』07.12.22

 1922(大正11)年に米国で製造され、最近まで熊本市電用に使われていた旧大江変電所内の「回転変流機」が、市交通局から鉄道関係の文化遺産が多い群馬県安中市に寄贈されていたことが21日分かった。
 市交通局によると、この変流機は、九州電力からの交流の電気を、市電運行で使う直流に変える役割を担っていた。鉄製で高さ1.6?、幅2.4?、奥行き1.8?、出力は750??。
 市交通局は51年、大阪市から同機を購入。大江五丁目の交通局敷地内の旧大江変電所で予備機として使っていた。このタイプの変流機では国内唯一の“現役”だったという。
 ただ大江変電所の建て替えに伴い、保存場所に困った同局が引き取り先を模索。世界遺産候補の「碓氷峠鉄道施設」などがある安中市が譲渡を希望し、11月18日に同市に向け搬出された。無償譲渡だが、移送費は安中市が負担した。現在は同市の「碓氷峠鉄道文化むら」に展示されているという。
 市交通局電車課は「熊本市には鉄道関係の博物館のような保存場所がなく、安中市が保存場所としてふさわしいと判断した」と説明している。
 21日の市議会最終日の質疑で北口和皇氏が「貴重な産業遺産で、熊本市の観光の目玉にできたのではないか」と指摘した。
(渡部直樹)

 一昨年末の話。
 これについては廃棄という事態にはならなかったが、しかし、熊本市内で保存公開することができなかったのか、文化行政の貧しさに暗澹となる。写真に撮り損ねたが、取り壊された変電所や交通局の建物もなかなか味があったのに。
 市立博物館も、県立の松橋収蔵庫も、このようなでかくて重いものをうけいれる能力がないのは分かっているが… もう少しなんとかならなかったのかなとは思う。
 あと、これ一つで観光のなんとかというのはありえない。ただ、先人が築いてきたものを遺していこうという努力が、その土地、その町の厚みにつながる。そのような自覚がなければ、人を呼び集めることはできないのではないか。