- 作者: 益田啓一郎
- 出版社/メーカー: 海鳥社
- 発売日: 2009/02/01
- メディア: 単行本
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吉田初三郎と九州の縁が以外に深くて驚いた。
別府の油屋熊八や北九州市あたりの人との関係が特に深い印象。九州の西や南とは関係が薄い感じ。熊本県との関連で言えば、天草、阿蘇、菊池、人吉方面の作品はあるのに、熊本市だけ抜けているのが印象的。いかにも熊本市らしいというかね。自分たちだけを見ていとでも言うべきか。徳富蘇峰との関係や「図画報国」といった初三郎の思想も興味深い。戦中は葦北に疎開していたというのも初耳。観光地の発掘など、観光プロデューサー的な活動の紹介も。
弟子で、後に独立して福岡県関係の作品を残した前田虹映も紹介されている。絵のタッチの好みで言えば、こちらのほうがいいと思う。
原図が結構、あちこちに分散して残っているのも紹介されている。原図も依頼主に渡したようだ。
初三郎作品は、結構な値段が付くようになっていて、いままで興味がなかったのだが、こうしてみるとなかなかに興味深い。