「特養ホーム 堤防外に放置:東京都 防潮堤建設計画なし」『熊日新聞』09/1/11

東京都の防潮堤の外側で、東京湾の高潮をかぶる恐れのある大田区東糀谷の敷地に、特別養護老人ホームなどが入った大規模複合福祉施設が二〇〇七年四月から開業しているが、都が0九年度予算を含め当面、施設を高潮から守る防潮堤の建設を計画していないことが、十日、分かった。
 都港湾局は「現場に防潮堤を建設すると百億円以上の予算が見込まれる。一民間施設のためにどこまで防潮堤を整備するのかという問題もある」と説明。お年寄りら入居者は、都の防潮ラインの外側に置き去りにされたままになりそうだ。
 社会福祉法人善光会が運営する「サンタフェガーデンヒルズ」(入所定員三百二十人)で、十階建てビルに特養ホームや介護老人保健施設などが入っている。善光会によると、約三百人が入所しているという。



 この記事では都に対して批判的に書かれているが、この場合、一番悪いのはそんな危険な土地に施設を立地した方だと思う。設置した法人側は、土地が安く手に入る。都が防潮堤を整備すれば安全性も上がるといったつもりかもしれない。それこそ、部分最適化の最たるもの。
7月末の山口の特養ホームの悲劇もそうだが、この手の施設が災害に弱い土地に立地している例がちらほらある。老人の周縁化とでも言ったらいいのか。災害に強い土地は地価が高いからこういう動きになるのだろうが、何らかの形で介入できないのだろうか。災害弱者が災害の危険性が高い土地に集中する。その後の防災対策や救援などのコストを考えると、あらかじめ公的機関が介入した方がいいのではないかと思う。
世の中の不動産開発をみると、世の人々は土地の特性に無頓着だなと思う。一見して、ここは水害の危険が高いという土地が住宅地かされたり、マンションが建ったり。それなりの知識がないと難しいのかもしれないが。売る方の不道徳さとでも言おうか。