永積洋子『平戸オランダ商館日記:近世外交の確立』

平戸オランダ商館日記―近世外交の確立 (講談社学術文庫)

平戸オランダ商館日記―近世外交の確立 (講談社学術文庫)

全文が翻訳された『平戸オランダ商館の日記』のダイジェスト版。
日記以前の状況から、糸割符をめぐる争い、鎖国への動き、平戸から長崎への商館の移転まで。章によって、年代が行きつ戻りつしているようなので、できれば年表が欲しかった。
興味深かったのは、ポルトガル商人への日本人の投銀とポルトガル貿易禁止時のその清算をめぐる混乱の話やオランダ側が幕閣や長崎奉行ら、平戸藩主といろいろな関係を持っていたところあたりか。
政治に関する商館長の記録は興味深いが、実際のところこれをクロスチェックする史料はあるのだろうか。いろいろと勘違いや誤解に基づく間違いがありそうなのだが。