チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの、腐った話

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ニコラス・マネー『チョコレートを滅ぼしたカビ・キノコの話:植物病理学入門』についての感想記事。語り口への批判。確かに、研究史などでは、ちょっとそれは現在から見た目で批判しすぎていないかと思うところもあるが、それほど気に触るほどではなかったかな。このあたりは個人的な好みが大きいから、受け入れられる人とない人がでるものだろう。


 中盤あたりの、コーン(Corn)がムギ類かトウモロコシかの話が面白い。コメント欄のやり取りがえらい面白い。
 ヨーロッパではムギ類を指し、アメリカではトウモロコシを指すという語彙の差。大学時代には、近世のベルギーあたりの農業生産についての文献を読んだりしたけど、ヨーロッパの研究者の文章では穀物生産=Corn productionだったように思う。記憶がかすかになっているが。
 ここのコメント欄で交わされた、各種の穀物に関する感情の問題(雑穀類に対する蔑みとか)が興味深い。「主食」に対する観念というのは、文化の重要な要素だけに、先鋭的になりうるのかな。トウモロコシや大豆に対してヨーロッパ人は「蔑み」の感情を抱いているとのことだが、このあたりジャガイモがなかなかヨーロッパに普及しなかった、庶民がなかなか受け入れなかったという歴史や稗や粟などの雑穀類が結構広く栽培されていたらしいのにそれが歴史学の対象に全くならないという事実などとつながるなと。阪本寧男『雑穀博士ユーラシアを行く』では、アフガニスタンあたりに雑穀の調査に行くと、雑穀は鳥の餌扱いだから恥ずかしがって最初はなかなか教えてくれないなんてエピソードがあって、麦や米以外の穀物についての偏見は、結構広範囲にあるのだろう。そう言えば、今読んでる山本紀夫『ジャガイモとインカ帝国』にも研究者のイモ類に対する偏見を指摘する行があったな。


そこから展開して→彼らの本音:遺伝子組み換えコムギは恐い!!

テレビ朝日サンデープロジェクト』でアメリカの穀物政策関係者が、
「遺伝子組み換え小麦を作らないのは、小麦は人間の食べ物ですが、トウモロコシや大豆は家畜のエサだからです」
との旨、明言なさっていて

とあるが、これはなかなか衝撃的な意見だな。人種差別臭が漂って、大変香ばしい。いや、Waspあたりの感覚はそうなのか… 米についても遺伝子組み換え作物はあまり目立たないし(日本国内の報道では)、「主食作物」を遺伝子操作するのは、どこでも反発が強いのかな。
ちなみに、私は「感情的反遺伝子組み換え作物派」。どういわれても、口に入れたい物ではないな。このあたりは論理的な根拠というよりも、食物に対する文化の問題なのではないかと。