- 作者: ウィリアム・ブライアント・ローガン,岸由二,山下篤子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2008/08/28
- メディア: 単行本
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第1部は、先史時代。オークの利用が「住居と衣服と主食の自給をともなった「人間」」を誕生させたと主張する。日本の縄文時代が、堅果類の利用を中心にかなり定住した状態の社会が出現していたらしいこと、アメリカインディアンの社会が比較的定着性の高いものであったことを考えると、違和感はあまりないな。採集から農耕への、永いグラデーションの途中にこういう社会が叢生したというのは、考えられることではある。
第2部は、古代から中世。生活資材の供給に果たしたオークの役割。素人史家だけに、情報源が偏っているように思うが(というか、ヨーロッパ限定)。イングランドの湿地地帯から出土した、新石器時代の木道や各種の施設、ヴァイキングのロングシップ、中世の巨大な教会建築など、ヨーロッパの社会がオークとの関わりでどのような知恵を発達させてきたのか。新石器時代には、ひこばえを利用する森林資源の管理が行われていたことや。ロングシップやウェストミンスターホールの屋根の驚異的な技術。
第3部は近代。帆船時代の軍艦の話。第4部がオークの生物学的な側面。
樹木医の著書で、著者はオークの木が大好きなのだろうが、それが本書に味わいを与えているように思う。
こんな論文見つけた:
明治初期の飛騨地方における堅果類の採集と農耕