- 作者: 三雲岳斗
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/04/08
- メディア: 文庫
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キャラクターで見るなら、瞑は属性が豊富であるが、逆にキャラクター固有の論理に欠けるように思う。一人称の主人公から見ているから、という側面もあるのだろうけど。女ホームズと男ワトソン、ツンデレ美少女あたりの属性の部分が枠になっているように見えるが、例えば瞑の鬱屈が、両親をつなぐ最後の絆だから優等生を演じているというあたりは、いかにも弱いと思う。2話の116ページのやり取りを含め、場面単位で魅力的なシーンは多いし、後半はキャラが動いているように思うが。
この作品の基になったのは、ビジュアルイメージなのだろう。最初に、セーラー服のヘッドフォン少女が、素足でスカーフを緩めて、死んだように横になっている。それが喚起するイメージのインパクト。そこから肉付けをしていったのだろうと思った。
あと、ちょっと気になるのが、先行作品との舞台の共通性。彩吹市や音瀬市などの地名や、『I.d.』シリーズで半年前に焼け落ちたことになっている雙羽塾、『レベリオン』シリーズ、『I.d.』シリーズに共通して出てくる皆瀬梨夏。時間軸的には、『レベリオン』→『少女ノイズ』→『I.d.』だろうか。あるいは、後二者は、パラレルなのかも。瞑は『レベリオン』の登場人物の血縁に可能性もある。そのあたりを妄想するのも、楽しみの一つ。というか、これがきっかけで、『I.d.』『レベリオン』『コールド・ゲヘナ』と過去作品を片っ端から読み返した。とりあえず、『コールド・ゲヘナ』の先が読みたくなった。