川地博行『英米日の小銃・自転車・自動車産業』

英米日の小銃・自転車・自動車産業

英米日の小銃・自転車・自動車産業

 確かに、この三種の産業はつながっているので、狙いは悪くない。しかし、結局は、各国・各産業の大まかなまとめに終始し、何を言いたいのかが判然としない。まあ、概説としては、参考文献含みでけっこう便利かなと。
 日米英三国の記述の量がばらばらで、比較のフレームが定まらなかったのが欠点だろうな。特に、アメリカの記述が少ない。アメリカにおいては、原料・エネルギーが安く、人件費が高い。これに対し、イギリスでは人件費、特に熟練職人の、が安く、エネルギー・原料が高い。この対照が、生産方式の違いを生み出した。それは確かなのだろうが、他の著作でも同様のことは指摘されていて、わざわざ一書を物すには弱いように思う。
 また、フリントロック式のマスケットから後装式の銃への技術的変化を考慮に入れず、シームレスに議論をつなげているのも、疑問。まして、火縄銃から一気に変化した日本の小銃生産の断層は、もう少し重視すべきだったのではないか。
 本書は、文献を後半に読み込んでいるだけに、最初の一歩の情報源としては便利な本だと思う。