L・T・C・ロルト『工作機械の歴史:職人の技からオートメーションへ』

工作機械の歴史―職人の技からオートメーションへ

工作機械の歴史―職人の技からオートメーションへ

 ま、なんだ、工作機械について、全然分からないということが分かったよ。
 18世紀後半から20世紀の初頭を中心に、金属切削を行う機械の歴史の描いた本。なのだが、とにかく細部が分からなくて、何がどうすごいのやら。たくさんの優れた技術者が寄ってたかって改良していったとしか読み取れなかった。
 大まかには、前史として旋盤の出現と発展。古代から存在し、刃物の研ぎなどに利用されてきたことや時計の製作に関連して、そちら方面での発展。砲の中ぐりからワットの蒸気機関製作との関連で、技術が発展。モーズレーとその後継者たち。アメリカにおける互換性生産と工作機械の発展、イギリスを追い抜く。更に自動車産業と工作機械が、相互に影響を与え合って発展していく状況。科学的研究の応用。電算化への展望と語られる。原著が1965年出版だそうで、いまどきのNC旋盤とかが出てくる直前の時期のようだ。
 しかしまあ、18世紀の工作機械でさえ、さまざまな技術的課題に工夫を凝らして対応しているので、素人には複雑すぎてよく分からない。このあたり、工作機械の入門書を探す必要があるな。


 自動車産業の前提としての自転車産業:

 一八九〇年から一八九七年にかけて、自転車産業へのアメリカ方式の適用が大成功をおさめた結果、年間生産台数は四万台から一〇〇万台へと増大した。この方式の自動車産業への拡張は当然のことであり、自転車製造で発達した技術のうちいくつかはこの新分野でも有用であった。とくにその中でも焼入れ歯車とボールベアリングの技術である。アメリカの企業が自転車から自動車へと向かったとき、生産に対する考え方は変わらなかった。p.167-8

 その割りに、アメリカ製自転車って、自国以外では売れていない様子なのが不思議ではある。この時期に、日本が輸入する自転車が、アメリカ製からイギリス製に移っているし。大量生産の限界か。