大内建二『戦時標準船入門:戦争中に急増された勝利のための量産船』

 タイトル通りの、戦時標準船の本。日本の戦時標準船、アメリカのリバティー級、イギリスのエンパイア級を紹介。当然のことながら、日本の戦時標準船が主体。およそ3分の2が日本を扱う。
 平時標準船から、第一次、第二次の戦時標準船の解説。特に、無理やり簡易化しまくった第二次戦時標準船の悲惨さ。建造した造船所の話。具体例による戦時標準船の戦い。いや、大戦中の日本の商船と言えば、聞くも涙語るも涙、もう悲惨としか言いようがない。特に負けが込んでた昭和19年以降はな。商船の船員の死亡率は、軍人より高かったというし。戦時標準型の機帆船の話が興味深い。ビルマやフィリピンでの活躍と敗北。
 ラストの1/3ほどが、イギリスとアメリカの戦時標準船の話。アメリカの物量と量産能力に溜息。あと、イギリスはあまり量産に特化しない、平時標準船的な船を造ったという話。なんだか、イギリスはアレだなとか思っていたら、それでも日本の倍以上作ってるあたりが泣ける。腐っても鯛というか…
 基本的な入門書としては最適と言っていいだろう。