中村哲編著『東アジア近代経済の形成と発展:東アジア資本主義形成史1』

 ここのところ、暑くて体調が落ちてきたので、戦線整理中。本書も、谷本雅之「戦間期日本の都市小工業:東京府の場合」以外は流し読み。日本の工業製品の輸出先にアジアが多いことを考えると、近代の資本主義の発展と東アジアの関連を重視する視点が出てくるのは、納得できる。ただ、中韓の著者の論文がなんだか読みにくい。どうにもディシプリンの違いが。
 谷本雅之「戦間期日本の都市小工業」にかんして。この論文は、1935、6年の『東京市小工業調査』と『東京市問屋制小工業調査』を主な素材として、都市の小工業を俯瞰している。取引先、収益性、再生産構造などが検討されている。この史料をもとにする限り、取引先としての問屋の位置が小さいというのは、興味深い結果。知り合い間での取引関係が大きかったのだろうか。このあたりの細かいディテールが見えてこないのが、統計情報を利用の限界だよなあ。あと、当時の工業の地域的分布の差、城南地区が機械工業、城東地区が雑工業・化学工業と地理的に分化しているという指摘がおもしろい。


 文献メモ:板倉勝高・井出策夫・竹内淳彦『大都市零細工業の構造』新評論、1973