- 作者: 村橋勝子
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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さまざまな企業の創業を巡る苦労、あるいは個性的な創業者の紹介など。「味の素」のパワフルおっかさん、「スルガ銀行」の創業者岡野喜太郎△とか。「イムラ封筒」や「ブリジストン」の創業者の先見の明。昔はトマトのにおいが嫌われていた、それを何とかしようとした「カゴメ」の話。このあたりが個人的には印象的。
味の素の創業記はどこかで読んだなと思ったが、これは『日本の15大同族企業』でも取り上げられていたエピソードだった。
社史の資料編には、実にさまざまなデータ、情報が載っている。数十年あるいは一〇〇年にわたる会社の基本的な資料・データが見やすく整理して載せてあるのはもちろんだが、そのほかにもユニークな情報が盛り込まれていることが多く、これが社史・資料編の醍醐味だ。
例えば、『STEPS―日本製靴の歩み・1902-1989』にはビジュアルな誌面の「靴とファッション史」があって、各時代の服装と靴がひと目でわかる。
『明治屋百年史』巻末の「取扱商品―明治末期と現在」という表には、明治末期と昭和初期の食品の値段を対応させて、細かく具体的に記してある。
(中略)
統計データもお勧めだ。官庁統計は一般的かつマクロなものが多いが、社史にある統計は、その会社の事業に密接なものだから、特定分野のきめ細かいものがめずらしくないし、ある項目についての昔の統計や長期にわたるデータも簡単に手に入る。
例えば、『内外耐火工業十五年史』は耐火れんがや耐火物に関する詳細な統計があるし、極洋捕鯨30年史』には、船舶の種類、鯨の種類別捕獲頭数、製品の種類別生産など、捕鯨が盛んだった時代の操業実績が細かに載っている。『明治生命百年史資料』では、明治以降百年にわたる死因別順位の推移が一挙にわかるのだ。p.114-5
社史資料編の資料的価値あるいは使い方指南。
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