谷口克広『織田信長合戦全録:桶狭間から本能寺まで』

織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)

織田信長合戦全録―桶狭間から本能寺まで (中公新書)

 題名の通りの、信長がどこでどんな戦争をやったかの本。家督相続直後の一族内の争いから本能寺で命を落とすまで。
 こうやって通史になると面白い。一向一揆相手には何度も負けているし、足利将軍の追放までは、相当の苦戦もしている。1570年の浅井朝倉相手の戦い、特に比叡山に浅井朝倉軍が立てこもってからの苦戦や長島の一向一揆など。それなりに負け戦を経験しつつ、致命的な打撃を受けていないのがさすがというべきか。
 あと、信長の戦い方ってのは基本的には速攻が身上で、持久戦は嫌いだったんだろうなあという感じ。やはり短気な人ではあったのだろう。初期には精鋭部隊による速攻、後期には大兵力を動員した危なげのない戦いと、使い分けているのも興味深い。