谷口克広『信長と消えた家臣たち:失脚・粛清・謀反』

信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書)

信長と消えた家臣たち―失脚・粛清・謀反 (中公新書)

 信長祭りも終りに近い。
 信長の覇業の途中で消えていった人々。個人的には、信長自身よりもこういう人間模様の方が興味深い。戦死したり、追放されたり、粛清されたり、反逆して敗れたり。負けた側に注目すると、これまた悲惨な戦国時代。さらに、ここからまた敗者や粛清される人が大量に出るわけだが…
 信長は反逆されやすい武将といわれるが、やはり性格的にそういうところがあるのだろうな。近習の忠誠心を見ると、身近で接する人間への人間的影響力はあったのだろうけど、その親密圏の外側では、彼を信用できない人が多かったのだろう。また、年齢を重ねるにつれ猜疑心が強くなっていった側面があるのかも。だんだん、粛清の度合いが酷くなっていっているし。佐久間の追放を見れば、重臣たちもいつ追放されるか安心できないし、それが最終的には明智の反逆につながったのだろう。あと、いったん服属した各地の国人が反逆するのは、統治方式の変更というのも大きかったのだろうなとも思う。外部から乗り込んできて、自分たちの自立性を破壊して行く者に対し、いっしょにはやってられないと思うものも多かろう。
 あとは、『信長の天下所司代』を残すのみ。