- 作者: 谷口克広
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2009/11/26
- メディア: 新書
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天下統一を狙う信長としては、朝廷との関係や都を平穏に統治しているという実績は、重要なものだったのだろう。それを担った村井の重要性というのは、華々しい合戦とは無縁とは言え、重要なものであったのだろう。また、だんだんと裁量を大きくし、朝廷に食い込みながら、信長の不興を買わなかった、そのあたりの身の処し方のうまさというのも、素晴らしい。
全体の構成としては、編年式とでもいおうか、「天下所司代」の前史、天下所司代を務めた9年間について、一年ごとに史料から活動を抜き出し検討を加える。最後に、村井の活動の評価という形になっている。だんだんと、公家との関係が深化して行っているのが分かる。あと、史料の残存状況から、どうしても吉田兼和が多い。他の公家の日記が残っていれば、朝廷での活動がもっとクリアに分かっただろうにと思った。
これにて、信長祭り完了。基本的にマイナー志向で、信長をはじめとする天下人とか戦国時代というのは敬遠しているのだが、こういう名脇役にフォーカスした著作は大好き。