「熊本発アイス”外貨”稼げ:山鹿市の「パストラル」:県産素材でオーダーメイド:本物志向…東京で人気」『熊日新聞』07/6/23

 東京・六本木ヒルズにある高級居酒屋「麻布久徳」。店の看板メニューである稲庭うどんと並んで、デザートのアイスクリームが若者やカップルの間で人気だ。メロンやマンゴーなど季節ごとに素材が変わり、無添加に近い。東京で評判のこのアイス、山鹿市の業務用アイス製造販売、パストラル(市原幸夫社長)が作ったものだ。


 同社は約百五十種類の産地アイスクリームを、客の要望に応じて生産する。このオーダーメード方式が当たり、創業十年で売上高が約八倍の八千万円に伸びた。健康や本物志向の波に乗り都市圏で人気が高く、市原社長は「都会から地方の零細企業が”外貨”を稼ぐモデルにしたい」と意気込んでいる。
 パストラルのアイスは、メロンやイチゴなど素材の約六割は県産。香料や着色料、保存剤などはごく一部の商品を除いて使わない。
 市原社長が産地アイスを思い立ったのは、設計士として県内の複数の物産館の建設にかかわったことがきっかけ。「加工品が少なく、豊かな農産物を生かし切っていない」と感じたという。
 同市の水辺プラザかもとにある工場。六月の旬の商品は肥後グリーンメロンを使ったシャーベットだ。白衣を着た工場員が種を丁寧にとった後、フリーザーと呼ばれる冷却装置に入れて固める。凍らせる以外の約八割は手作業という地道な作業だ。卸売価格は3.5リットル(約五十人分)で三千九百九十円(税込み)。
 素材はほかに河内ミカンや天草のデコポン、植木のモモやスイカなどさまざま。同じ素材でも季節や産地で風味が違い、同じ味は二度と作れないという。大量に同じものを作る大手食料加工品メーカーと対極のビジネスモデルがある。
 来年からはインターネットで個人向け販売も開始する予定。市原社長は「将来的には庭で野イチゴなどを作るお年寄りから材料を買い、地域貢献できる会社にしたい」と話している。
 (伊豆信太郎)

 確かに、農産物を加工して付加価値を付けるというのは重要なことだと思う。その点では良い試み。同じ味は二度と作れない一期一会というのも、興味深い。
→同社のサイト:業務用創作アイスクリーム専門店【パストラル】