- 作者: 渡辺洋二
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/07/09
- メディア: 文庫
- 購入: 1人 クリック: 14回
- この商品を含むブログ (4件) を見る
十月十八日の捷一号作戦発動でフィリピン決戦が幕を開けるとすぎ、高杉大尉を長として一式戦十数機の比島空輸を請けおった。福岡県雁ノ巣-沖縄-台湾を経由してルソン島クラークへ行く予定だったが、徳之島をすぎたあたりで日が沈み、編隊がくずれて、高杉大尉ら四機は沖縄・小禄、残る早乙女中尉(八月に進級)らは伊江島に降着。夜間設備がまったくない伊江島飛行場に、主翼の前照灯を頼りに着陸したけれども、砂地の滑走路に脚をとられて大半が壊れ、目測を誤った佐藤精一少尉が前の機に衝突、死亡し、整備員もまきぞえになった。p.310
両大尉の着任からまもなくの十二月十三日、二度目のフィリピン空輸が行われた。浅田一佳男大尉、鶴田茂大尉、本多恵一中尉、それに真崎大尉の、第一-第四編隊に分かれた二式戦闘機「鍾馗」十六機のうち、空輸指揮官の浅田大尉は台湾・屏東へ向かう途中の十七日、天候不良で行方不明。ほかに中井良正少尉らの犠牲が出て、一回目の空輸時と同じく、予想外の出血を強いられた。p.313
このあたりのフェリー途中の損耗については、戦略爆撃調査団の『ジャパニーズ・エア・パワー』(ISBN:4769807686)あたりでも指摘されていたな。こういう基礎的というか、裏方的な部分で日本軍は劣っていたのだろうな。