今週の本棚:海部宣男・評 『進化の運命…』=サイモン・コンウェイ=モリス著

http://mainichi.jp/enta/book/hondana/archive/news/2010/09/20100926ddm015070017000c.html 「収斂進化」の概念を使っても、人間の出現が必然とは言えないような気がする。なんで、人間以前に収斂進化によって「知性」が複数回出現しなかったのか。そう考えると、人間の知性ってのは、進化の隘路、生物の中の異形なのかもしれないなと思った。
 しかし、コンウェイ=モリスも「この世のことは気まぐれに過ぎないという主張は精神を蝕む」なんて主張をするのか。ヨーロッパ人の、世界がきっちりと構築されていないと死んじゃう的な思考はいまいち理解不能。まあ、儒教なんかも含めて、宗教というのは須らく世界の成り立ちを説明するものではあるが、自律的に生成展開する科学の世界観でも「精神を蝕まれず」生きることは可能だと思うのだけれど。