安藤優一郎『娯楽都市江戸の誘惑』

娯楽都市・江戸の誘惑 (PHP新書)

娯楽都市・江戸の誘惑 (PHP新書)

 江戸時代の遊興についてまとめた本。安藤氏の書物は、そのトピックについて手軽に基本的な知識を得ることができるのが良い。明快かつ簡潔にまとまっている。その分、深みには欠けるかもしれないが。
 第一章は浅草界隈のにぎわいとその経済効果、第二章は三大娯楽ということで歌舞伎・相撲・寄席について。第三章は富くじ。第四章は出開帳とそれにかかる費用を支援する豪商たち。第五章は大食い大会や出版業、講と寺社などについて。
 こうして見ると、農村から江戸に出てくる人が多いのも納得できる話。史料の関係か、19世紀に入ってからの話が多い。江戸時代の社会システムの行き詰まりと娯楽の肥大化には関係があるのだろうか。