戦国合戦の舞台裏 ?兵士たちの出陣から退陣まで? (歴史新書y 10)
- 作者: 盛本昌広
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2010/10/06
- メディア: 新書
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あと、東国の北条・上杉・武田関係の史料を主に使用している。戦国時代の研究では、東国の史料が使われることが多いが、これはなんでなんだろう。残存状態の問題か、あるいは単純に史料の発掘とアクセスに地域差があるのか。
個人的には最初の方がおもしろかった。緊急事態には太鼓や鐘、ホラ貝などが鳴らされ、それで人々は返事を察知し、集まる。また、戦国大名は各地から来た注進状を分析し、意思決定を行う。動員が決まれば、「陣触」が各地を回って集結地を知らせ、集結地で「着到」を行って各々の兵力を確認する。
進軍を開始すれば、今度は宿泊場所が問題になる。「陣取」と称してあちこちに宿泊するわけだが、押しかけられる方は迷惑だから大名と交渉して禁制を確保しようとする。このあたりのせめぎ合いが面白い。街道筋の集落には、戦時には軍勢が押しかけて大変なのだろう。京都などでは、主に寺が有力者の宿泊地となっていた状況が明らかにされる。