Togetter 日本における養蚕の始まり+α

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 養蚕の起源を考古学的に検証するのは難しいだろうな。現物も織り機も、遺物として残りにくい物だし。製糸用の錘が指標になるのだろうか。延喜式を見ると、肥後も含め、かなり広い範囲から絹織物が献上されているようだし、平安時代には相当広がっていたのだろうな。
 このまとめを読んでいて気になったのだが、古代から、シームレスに現代につなげるのは危険。近世には市場経済が発展して、各所で家内工業として織物業が広がっていた。その後、近代に入って輸出品として重要になったため、工業化・資本主義化が進んだ。その過程を押さえる必要がある。20世紀半ばの養蚕のあり様というのは、世界市場に接続された状況を示している。
 しかし、よく考えると不思議な話で、熊本県内でも、広い範囲で多くの人が養蚕に従事していて、畑作地帯には桑畑が大量にあったのが、今となってはほとんど跡形もないという。だいたい、古代以来の伝統があるはずの熊本の養蚕・絹織物生産が、近代に入って自生的発展をほとんど示していないというのも、なんというか首をかしげるものがある。大規模な製糸工場が操業していたのは確かなんだけれど。