三陸の山を削り、高台をつくって街を移す「グスコーブドリ構想」

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高台へ移転して悲劇の連鎖を断ち切る、「グスコーブドリ構想」の発進


 高所移転そのものは、積極的に推進するべきだと思うけど、あんまりやりすぎるのもどうもなと思う。そもそも、どうして人はその土地に住んでいるかをよく考慮すべきではないか。「災害復興」によって景観がすっかり変わってしまえば、それはもはや以前の土地とは違うものになってしまうし、そのような場所に居続ける理由はなくなってしまう。神戸の被災が酷かった地域や川辺川ダム建設のために移転した五木村などでは、結局人口が減少したままになっている。ただでさえ、今回の災害で人口の減少が予測できるのに、さらにそれを促進してしまう可能性があるのではないか。従来の集落を継続し、津波避難塔を建設するなど、様々な政策パッケージがあっていいのではないだろうか。
 だいたい、小規模場集落ならともかく、大船渡や気仙沼などのそれなりの規模の都市は、移転する場所もないだろう。山を削るのはいいが、それが逆に災害への脆弱性を生むのではないかという懸念もある。
 少なくとも、強制的な高所移転は行われるべきでないだろう。