「熊本博物館収蔵:ガラス銀めっき反射式望遠鏡:「国内最古」確認」『熊日新聞』10/10/28

 こういうのは、学芸員と言えど専門外の人間には識別しようがないだけに、結構ないがしろにされてきたんじゃなかろうか。保存状態が気になるところ。
 しかし興味深いのは、この望遠鏡の輸入を契機に、アマチュア天文家の間で望遠鏡の自作が広がったという話。こういう在野研究者の世界と言うのも興味深いものがある。

 熊本博物館(熊本市古京町)収蔵の望遠鏡がガラス銀めっき反射式としては国内で最も古いことが27日、分かった。国立科学博物館(東京)の西城恵一研究主幹(61)の調査で判明した。


国立科学博物館西城氏が調査:英国製1920年に日本へ


 同望遠鏡は、レンズの代わりに2枚の鏡を使う「ニュートン式」。古いニュートン式は金属を磨いた鏡を使ったが、19世紀中ごろガラス銀めっき技術が開発され、性能が向上した。
 熊本博物館の望遠鏡はイギリス製。1920年に神戸市の英国人アマチュア天文家が輸入した後、熊本大の池田一幸教授(故人)に渡り、遺族が同博物館に寄贈した。
 今春、別の調査で来熊した西城研究主幹の目にとまり、文献などを調査。1920年以前に製造されたガラス銀めっき式の望遠鏡が国内に残っているという記録はなく、国内最古と確認した。
 金属製の筒(直径約20センチ、長さ約1.5メートル)に鏡2枚が収められている。反射鏡の直径(口径)は160ミリで、最高倍率は236倍。
 27日、同博物館を訪れ再度、調査した西城研究主幹は「この望遠鏡に刺激を受けて、日本のアマチュア天文家の間に手作り望遠鏡が広まった。アマチュアの活動を盛り上げたきつかけのひとつ」と意義を強調。同博物館は「貴重な望遠鏡と分かり良かった。展示・公開できないか検討する」と話している。(鹿本成人)