- 作者: 菊池良生
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/01/18
- メディア: 新書
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同じ著者の『戦うハプスブルク家』が結構面白かったので、手を出してみたのだが、期待はずれも良いところだ。17世紀の中欧についてなら、それなりの密度で書けても、そこから外に出ると、知識も史観も足りていない感じ。あとがきで書いているが、種本4冊ってのは、いくらなんでも少なすぎる感じ。それで、国民国家の形成の問題に踏み込もうとは。近年は軍隊と社会、軍隊と国家といったテーマでの研究も進んでいるのに…
ランツクネヒトから18世紀の絶対主義国家での傭兵については、下敷きにした本のおかげか、それなりにおもしろいが。
本書でも取り上げられているが、クセノフォンの『アナバシス』。あれを読むと、あの時代の戦争がどんなものだったのか、余計分からなくなるな。キュロスと兄王の決戦のシーンなんか、無秩序な混戦にしか見えないし。そもそもギリシア人重装歩兵部隊は、独走して行っちゃうし。あと、脱出行にしても、多数の女性や奴隷などの非戦闘員を抱え込んで、荷物も大量に持っていたみたいだし、戦争の時間感覚ってよく分からないところがある。