松岡正剛の千夜千冊『水戸イデオロギー』ヴィクター・コシュマン

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 水戸学の変遷やアメリカの日本研究の流れ、あるいは日本における大戦の敗北と何故そんな戦争を起こしたのか、そのイデオロギー的支柱を突き止める動きからはじまる水戸学研究の流れ。あるいは歴史記述の話などなど。しかしまあ、今となっては何が問題なのかさっぱり理解できないような。南朝でも北朝でもどっちでもいいじゃんとも思ったり。それが歴史の展開ということなんだろうな。しかし、長い… 思想史っておもしろそうだけど、そこまで手を出すのは無理くさいというか、ああいう理屈をこねまわす系は苦手。
 野口武彦『江戸の歴史家』、『江戸の兵学思想』か… 機会があったら読みたい。

そのダワーがかつて、アメリカの対日政策と「近代化・民主化の理論」は共犯関係にあると告発して、アメリカ政府による敗戦後日本に対する政治目標が次の5点にあったという“証拠”をあげたことがある。本書の訳者である早稲田の梅森直之さんが「あとがき」にも書いている。
 その5点というのは、なかなかすさまじく、?日本の左翼の信用を失わせること、?平和主義と再軍備の機運を殺ぐこと、?アジア諸国に日本の社会的優越性を感じさせ、それをもって日本人を資本主義陣営に誘導すること、?そのため、アメリカのジャパノロジストを徴用して「心理学的なプログラム」を付した教育を浸透させること、?日本を中国のカウンターモデルとして、不安定なアジアの発展途上国に提示すること、というものだ。
 この対日政策こそ、アメリカがいまなお各国に押し売りしようとしている「近代化・民主化の理論」の原型だというのである。きっとそうだろう。きっとそうなんでございましょう、という5点だ。

 メモ。