瀬尾つかさ『約束の方舟 上下』

約束の方舟 (上) (ハヤカワ文庫JA)

約束の方舟 (上) (ハヤカワ文庫JA)

約束の方舟 (下) (ハヤカワ文庫JA)

約束の方舟 (下) (ハヤカワ文庫JA)

 瀬尾つかさの本気を見た。他生物との共生、百年かけて航行する移民宇宙船、少年の成長、ベガーとの関係をめぐる政治的な争い、陰謀。非常に読んでいて楽しかった。
 ネット上のどこかで、瀬尾つかさジュブナイル作家だという指摘を読んだが、本書も正しくジュブナイルだな。少年が成長し、自分の地位を確立していくという話の構造が。主人公が調整型で、異生物ベガーとの共生を訴える側であるというのが、現代的かな。ハインラインあたりに同ネタで書かせたら、ベガー征伐の過程で地位上昇していく主人公みたいな話を書きそうだ。軟体動物は消毒だ―的な。
 登場人物も魅力的で、満足した一作。