三雲岳斗『海底密室』

海底密室 (徳間デュアル文庫)

海底密室 (徳間デュアル文庫)

 高畑京一郎の『タイムリープ』を発掘している過程で、腐海の深部から一緒に出てきた本。出てからそれほどたっていない時期に通読して以来かな。
 水深4000メートルの深海底にある居住実験施設「バブル」へと取材に行った鷲見崎遊。そこでは二週間前に研究員が自殺していて、さらに到着してからも殺人が連続する。遊はその謎を解くべく行動する。
 一度読んでいるはずだけど、内容はすっぱり忘れていたな。密室のトリックはともかくとして、殺人の手口なんかは完璧に忘れていた。密室殺人の謎解きも興味深いが、「孤独」や地球環境や閉鎖的生活空間の話が印象に残る。しかしまあ、人類はそういう閉鎖的環境に適応できるか疑問ではある。大体において、生物とは拡散・拡大する方向に進化しているし、哺乳類というのはエネルギー消費を増加させる方向に進んでいるからなあ。エネルギー消費が肥大化した人類が、それと別の方向を向く事ができるとはちょっと考え難い。