デビッド・マコーレイ『都市:ローマ人はどのように都市をつくったか』

都市―ローマ人はどのように都市をつくったか

都市―ローマ人はどのように都市をつくったか

 マコーレイ三冊目。全部借りると重くなりすぎるため、今回は三冊。イタリア半島はポー河沿岸のどこかに造られた架空の都市、ウェルボニアの計画からおよそ一世紀程度の期間を描く。
 しかしまあ、ローマの植民都市ってのはすごく贅沢だなと感じる。道路に城壁、橋に水道橋。街路や都市の主要施設も全部石造りなわけで、どれだけの石材を準備する必要があったのか。さらに木材も一般の民家や橋の基礎、アーチを作る時の支えなどいくらでも必要だっただろうし。とんでもないな。
 他にも、民家やフォールム、上下水道などなど。維持するのにもすごく手間がかかりそう。この後、何世紀か経つと都市が維持できなくなって、キリスト教の教会を中心に狭い範囲にしか人が住まなくなるわけで。現代都市も上下水道は設置にも、維持にも膨大なコストがかかっているわけだけど。あと、ローマ都市の「水道」というのは、ある意味、人工的な新しい川の形成だよな。恒常的に水源から水が流れてくるんだし。
 ヨーロッパの大都市で、ローマ帝国と関わりない都市って少数派だからなあ。そのあたりの立地の選択眼がすごいと思う。あと、碁盤の目のプランの都市って、整然とした姿とは裏腹に住みにくいんじゃないかなと思う今日この頃。