北海に面した港町レベック 紀元前10世紀から現代までの変遷史 (図説都市の歴史)
- 作者: ハビエルエルナンデス,ジョルデイバロンガ,フランチェスココルニ,川添登,木村尚三郎
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 1991/07
- メディア: 大型本
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あと、こういう風に海に直接面した河口の都市って、実は典型的なものではないということにも注意すべき。だいたいにおいて、中心的な港町ってのは、河口からかなり遡ったデルタの付け根あたりに立地することが多い。北海からバルト海にかけてだと、ルーアン、ブルッヘ、アントワープ、ロッテルダム、ブレーメン、ハンブルク、リューベック、ロストック、シュテッツィン、ダンツィヒとどれも、河口からかなり登った所にあるか、潟湖に面している。で、河口や海岸に外港都市がセットで付くというパターンが多い。直接、範をとったと思われるアムステルダムにしても、本書ほど島って感じはしない。これは南アジアや東南アジア、中国のあたりの港市でも同様。あと、繁栄の基盤と中心は、中世後期から近世にかけて大きく動いているのに、そのあたりガン無視なのはマイナス。
あと気になったのは、8世紀のバイキングの拠点港から13世紀の自由都市に飛んでいるのもマイナス。そもそも、中世盛期の一体化した都市の全段階では、領主の城塞と教会の門前町、商人集落といった要素がバラバラだった。そのあたりはちゃんと表現すべきではないだろうか。まあ、比重が近代に入ってから見たいだから、編集の都合なんだろうけど。
書き込んであるイラストを観察すると、それなりに面白くはあるのだが。あと、解説ページの建物の透視図が、パースおかしくないか? 前の『ウム・エル・マダヤン』では、あまり知らないだけに粗を感じられなかったが、分かるところに来たら粗だらけだな。