安藤邦廣+筑波大学安藤研究室『小屋と倉:干す・仕舞う・守る 木組みのかたち』

小屋と倉 干す・仕舞う・守る 木組みのかたち

小屋と倉 干す・仕舞う・守る 木組みのかたち

 東日本や対馬の作業小屋や木組みの倉などを紹介している。それぞれの土地で、デザインにバラエティに富んでいる。倉というと土蔵というイメージなので、新鮮。ただ、梁や桁を含めた用語があまり解説されていないので、初心者にはちょっと読みにくい部分も。
 「干す」「仕舞う」「守る」という機能別にまとめられていて、読み進めるほどに重厚な建物になっていく構成。あと、家畜との関係の深さも印象的。対馬の大きな石で葺いた「コヤ」や奄美の屋根だけのユニークな外見の「高倉」、伊豆諸島新島の石倉など、離島にはユニークな形態の倉庫建築が多い。また、「常陸のたばこ乾燥小屋」、北上の板倉、八溝山地のせいろう倉などが良い形。角材を組んで造ったせいろう組の倉はたたずまいが重厚で素晴らしい。