自炊代行提訴についての雑感 --- 玉井克哉 : アゴラ - ライブドアブログ

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 そもそも、作家も読者も、法文解釈のリングの外で場外乱闘をやっている状況だしな。ここで問題になっているのは、法律の前提となる、どのように書籍が読まれ、利用されるべきかというところで争われている。そして、その論争を仕掛けたのは、作家の側であるということを忘れるべきではない。正直、相当後の方まで紙の本を読み続けるとおもうけど、今回の件では、作家側の主張にはうなずけない。
 あと、この記事で海賊版制作につながる懸念が語られているけど、架空の事態をもとに批判するのはどうなんだろうな。上のインタビューでも言われているけど。ちゃんとした根拠に基づかない憶測だろう。「自炊」をやる側にもいろいろな理由があるわけで、それを切り分けないと的外れになるのではないだろうか。いろいろなデバイスに移し変えながら利用する、好きな小説や漫画をもう一度読み返したくなった時のために持っておきたいけどもう場所がない、参照用に一部を拾い読みするような本は場所を食う物理的な媒体でもっておきたくない学者や著述家、このくらいのカテゴリーはすぐに思いつくけど、それぞれで代替案は異なる。
 あと、この問題がフィクションの流通の観点からしか語られていないのが気になる。学術書の世界から見ると全く違う像が見えてくるのではないだろうか。絶版になったり、熊本あたりでは手に入りにくい本だらけの状況を考えると、出版社がつぶれないレベルで複製の制限は無くなってほしいものだと思う。