「土砂災害」も「原発事故」も、戦争のツケが招いた:日経ビジネスオンライン

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20120203/226849/
 阪神大震災の時も埋立地を中心にかなりの液状化被害が出たけど、結局、本格的な対策というか、住民の救済策は用意されなかったんだよな。結局、地盤がらみは住民が全面的にリスクを負担することになっている。液状化だけではなく、傾斜地の盛土と切土の境目なんかも多い。地形を改変しまくって、元の素性が分からなくして売った不動産業者・開発業者は罪深いと思う。まあ、買う方も、明らかに水害がヤバそうな谷底を平気で買っているから、どうしようもないとも言えるが。確かに、この地盤という問題は、専門の隙間で等閑視されてきたふしはあるな。
 あと、紀伊半島の深層崩壊は植林とは関係ないと思う。表面の植生がまったく影響を与えないとは言い切れないが、あんまり関係ないんじゃないかね。

養老:東京近辺で最大の被害と言えば、建物そのものじゃなくて、例の液状化という土地の問題でしたよね。住まいとは建物だけで成立するのではなくて、土地そのものの素性や形も含んでいて、それがダメになると暮らしは全部壊れちゃうんだよね。それは、阪神・淡路大震災の時にしみじみ思いましたよ。

隈:液状化問題というのは、建築と土木という縦割りの世界の境界にあるものなんです。だから実は、土木の人も、建築の人も、液状化に関してはどっちも責任を感じていない。土木の人は、大きな橋を作るとか、土地を埋め立てるとか、そういう大きなところの絵を描く。

 敷地に分割してからは建築の人の仕事です。建築の人は建築の図面は描くけど、それが立つ地面に関しては、実はよく分かっていない。土木の人も境界のことはよく分かっていない。ということで、津波と同じく、液状化の問題もノーマークでした。


隈:それも1つですね。市街地を高台に作り直せという議論にしても、その高台がどういう地盤や場所なのか分からないで、ただ「高台、高台」と言っている感がある。でも、高台だったら、今度は土砂流とか、別の危険があるし、新しく造成したら、いろいろな問題が出てきます。だったら次は砂防ダムをめちゃくちゃ作ろう、という話になる。そうして、税金を払う人たちが、とんでもないリスクを背負わないといけなくなる。


 それを全く無視して、今は海沿いの被災地ばかりに目が行っているから高台と言う。あるいは、ガレキの跡地には全部、森を作ろうというアイデアもあるけれど、その森だってメンテナンスは誰のお金で誰がするのか、という大きな問題がある。

 そうなんだよなあ。昔からある集落の立地ってのは、それなりに故あるものなんだから、そう簡単に全面移転なんかできるものではないと思うのだが。特に、都市ともなれば。盛土すれば、そこが崩落する危険は津波よりもよっぽど高いと思うのだがな。