デリック・ライト『タラワ1943:形勢の転換点』

タラワ1943―形勢の転換点 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ―世界の戦場イラストレイテッド)

タラワ1943―形勢の転換点 (オスプレイ・ミリタリー・シリーズ―世界の戦場イラストレイテッド)

 アメリカ軍によるタラワの環礁への上陸作戦をまとめた本。アメリカ側からの視点で描かれているが、そもそも日本人でも、日本側の視点でこの戦いを描くのは難しいだろうな。そもそも、この時に日本軍がどう動いたかを証言できる人間なんてほとんどいないだろうし。初っ端に司令部が全滅して、艦砲射撃によって制圧されている状況で、日本側はどう動いたのだろうか。
 話としては、大半が初日の上陸時の海兵隊の損害について割かれている印象。非装甲のアムトラックが水際で撃破されたり、揚陸艇がサンゴ礁座礁して弾幕の餌食になったり。指揮官の柴崎少将が初日に戦死していなければ、夜襲で海兵隊側が破れていた可能性もあったという。Togetterで初日に指揮官が死亡していたのに、アメリカ軍に気付かせなかった日本軍変態すぎなんて話がでていたが、実際には積極的な反撃なんかには支障が出ていたのだな。あとは、二日目以降の抵抗の弱さも印象的だな。あれだけ狭い島だと、補給にも支障が出るだろうし、そういうものかもしれないが。つーか、島の東の方に残っていた兵士って、ほとんど設営部隊だったのかもな。

 日本軍にとって接近してくる揚陸艇は大きな衝撃だった。彼らが目にしたのは予想していた木造船ではなく、上陸部隊を満載した水上戦車のような金属製トラクターの集団だった。驚くべきことにこれらは浅瀬に座礁することなく、珊瑚礁に乗り上げると浜辺へ向かってすべての銃を撃ちながら走り続けた。p.25

 このあたり偏見がありそうだな。日本側も大発動邸とか、特内火艇みたいなものを運用していたわけで。全金属製の揚陸作戦車両は目にしていたんじゃなかろうか。駐屯していたのが海軍陸戦隊だし。