飯山幸伸『弱小国の戦い:欧州の自由を求める被占領国の戦争』

弱小国の戦い―欧州の自由を求める被占領国の戦争 (光人社NF文庫)

弱小国の戦い―欧州の自由を求める被占領国の戦争 (光人社NF文庫)

 ベネルクス三国、北欧の国々、東欧諸国といった英仏独伊ソといった列強に挟まれた諸国の苦闘を第一次・第二次の両大戦を通して描く。いやもう、間に挟まれた小国の蹂躙されっぷりがなんともいえないとしか。二度ともドイツ軍の通り道になってしまったベルギーとか、第二次大戦で一番ひどい目にあったと言えるポーランドとか。国を守れないとはどういうことかって感じ。独ソのえげつなさは当然として、イギリスもなかなか。第二次大戦末のギリシアの地元政治勢力制圧とか、ようやるわ。
 あとは中立国でも、戦争被害はきっちりと受ける状況とか、東欧の国造りの難しさとか、第二次世界大戦直前のポーランドの外交とか、どれも興味深い。
 あと、第一次世界大戦のはじまりって、ピタゴラ装置みたいだよな。