渡瀬草一郎『源氏物の怪語り』

源氏 物の怪語り (メディアワークス文庫)

源氏 物の怪語り (メディアワークス文庫)

 紫式部を主人公にすえた、平安時代もの。『陰陽の京』シリーズとは違って、陰陽師がほとんど出てこないので、呪術的要素は少ない。むしろ、人の思いとか、そっち系がストレートに出ている感じ。そう言えば、『陰陽の京』シリーズとは、どの程度関連するのだろうか。安倍吉平とか、共通する人名があるけど。
 紫式部とその娘賢子、それにとりついた紫式部の姉を軸に、周囲の人々の思いと怪異の話。むしろ、思い通りにならない心と向き合うような感じかね。