「7・12豪雨の全半壊世帯:半数近く移転希望:阿蘇市調査」『熊日新聞』2012/11/9

 阿蘇市は8日、「7・12豪雨」で土石流による大きな家屋被害が出た同市一の宮町の14行政区・全523世帯を対象にした今後の住まいに関する意向調査結果をまとめた。
 66%にあたる344世帯が回答。約7割がほかの土地への移住を考えていないと回答したが、自宅が全半壊するなどした101世帯に限ると、半数近い46世帯が移転を希望していることが分かった。
 調査は、10月24日から11月5日にかけて、一の宮町の坂梨、古城、中通の行政区で、記名式で実施した。
 移転で重視する点として79世帯が「土地購入や住宅建設費補助」を挙げたほか、「今まで住んでいた場所に近い」「農地転用などの行政支援」「広い敷地確保」‐などが多かった。また、移転する場合の形について回答した全半壊62世帯のうち、6割近い35世帯が「個人で移転先を探す」としたが、3割は「市が移転先を確保するならそこに移る」と答えた。
 国が造成費や土地購入、住宅建設費の利子を補給する防災集団移転の場合、法律で(1)10戸以上の規模(2)1戸当たり330平方メートル(百坪)までなど、厳しい条件がある。
 調査結果について市は「区全体の平均に比べ、被災した世帯は移転を望む割合が高い」と分析。しかし、集団移転については「移転した後の土地は『災害危険区域』になる。仮にエリア内で残る世帯は住宅新築や改築ができなくなるなど、住民の合意形成が難しいことも予想される」と話した。(今村浩、山本遼)

 阿蘇の話。