- 作者: 藤岡換太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/02/21
- メディア: 新書
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全体の三分の二程度は、地球の形成から現在に至る地球史のなかで、海がどのように変化してきたか。残りは海の成分がどのように循環しているかについて述べている。最後の第四部ではプレートの移動と共にマントルに取り込まれた水が、地球内部の熱の減少と共に、火山活動が沈静化、水分が大気中に放出されなくなり、最終的に地表から水がなくなるモデルを紹介している。地球に液体の水が存在しつづけられたのには、大気の組成や太陽のエネルギーの微妙なバランスがあったのだなとか、生物の繁栄って地球史の中ではごく最近のことなんだなとか、改めて思わされる。
海洋無酸素事件とか、超大陸が浅海性の生物の脅威になったとか、現在の気候につながるモンスーンやパナマ地峡の形成の影響とか。
以下、メモ:
実は私が小学校のころには、地球は約20億年前にできたとされていました。米国の有名な女性海洋生物学者レイチェル・カーソンが書いた『われらをめぐる海』(1951年刊行)でも同じような年代で語られています。地球の年齢を調べるには、地球上の岩石の年齢を片っ端から測定してもっとも年代の古いものを見つければよいわけですが、それがきちんと確定されたのは意外に最近のことだったのです。p.25
ハヤカワ文庫で出たのを読もうとしたけど、そのあたりであっさりと詰まったな。今の教科書に書かれていることが確定したのが、意外に最近のことなんだよなあ。地震に関する知見も、10年20年で書き変わってしまうしな。
まだ海にしか居場所をもたない生物たちにとっては、超大陸の出現は脅威でした。入り組んだ海岸線に近いところにできる浅瀬は、太陽の光が届きやすく、生物の生息に適した環境でした。ところが、超大陸の形成によって大陸と大陸の間にあった海がなくなり、海岸線が極端に短くなると、浅瀬に生息していた多くの生物が死滅してしまったのです。地球史において何度か起きている生物の大量絶滅には、超大陸の形成が関係しているという考え方もあります。p.86
確かに、大陸がひとつだけにまとまってしまうと、地形的にも、地理的隔離の問題からも、生物多様性は減少しそうだな。まして、海洋生物しかいない時代には。
しかし、それほど隆盛だった生物の楽園が、海底地滑りくらいで滅び去ってしまうものだろうかと思われる方もいるかもしれません。たしかに地上で起きる「地滑り」を連想すると、海底でのそれがどのような現象なのか想像がつきにくいでしょう。カンブリア紀に起きた海底地滑りについてはくわしいことは知るよしもないのですが、地質学的な大事件として記録に残っているものに、約8000年前にノルウェー沖で起きたストレッガ海底地滑りがあります。このときは約5600Km3もの海底堆積物が、大陸棚から海底になだれ落ちました。立方体にすれば1辺17Km以上という途方もない大きさになります。そして堆積物の移動距離は、約800Kmにも及んだそうです。なんと東京から鹿児島までの距離です。海ではこれだけの規模の地滑りが、ときに秒速10mものスピードで海底を走るのです。
次の第3部でくわしく述べますが。海底の地形は陸上よりもはるかに大規模です。そして、そこで起きる現象も、陸上で暮らすわたしたちの想像を絶します。記録に残っている、海底地滑りで動いた堆積物の最大堆積は約2万Km3といわれます。このような巨大現象によってかたちを大きく変えながら、海底は陸上とはまったく違う姿になっていったのです。p.98-9
海底地滑りテラコワス。