雨木シュウスケ『鋼殻のレギオス』

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)

鋼殻のレギオス (富士見ファンタジア文庫)

 腐海の底から召喚したので、再読。物語が完結した時点からみると、感慨深いものがあるな。最終的には、レイフォンはあんまり変わっていないような。自分に力点があるのではなく、人を助けたいという思いが核にあるという点で。多くの戦いを経て、力が抜けたという感はあるが。
 孤児院を安定的に経営するための資金を稼ぐための賭け試合にかかわって、最強の武芸者である「天剣」の地位を追放され、グレンダンから学園都市ツェルニへやってくる。武芸から離れて自分の道を探したいと思いながら、ツェルニが汚染獣に襲われ危機にひんした時には、住民たちを助けるために、結局その力をふるう。なし崩しに戦う事にかかわることになるスタート地点から、最終的には自覚的に自らの力を人のために使うようになる。それでも、この巻で「人のために力をふるいたくない」という所から、「誰かの将来を、こんなことで失わせたくない」と言った時点ですべて決まっていたんだろうな。
 あと、この時にフェリがレイフォンの願いに応えたことが最後につながっているというか。ニーナにしろ、リーリンにしろ、結局は別の方向を向いていたのに対し、同じ問題に直面していた人物だし。