ラリイ・ニーヴン『リングワールド』

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

リングワールド (ハヤカワ文庫 SF (616))

 ふと読みたくなったので。最近のハヤカワ文庫は高い上に、買うと積んで後回しにしそうだから、図書館から借りだし。
 ダイソン球殻天体の廉価版の、恒星をぐるっと取り巻くリング状の大地のイメージはすごく面白い。基本的に想像を絶する感じだが。一方で、物語の恒星的には歪な感じがするなあ。物語のキモとなるべきリングワールド漫遊が微妙に平板だったり、そもそもリングワールドに行くまでにページ数とりすぎな感じとか。
 パペッティア人の、クジン人や人間に対する「品種改良」の策謀、その結果出現した「ティーラ・ブラウンの幸運」に翻弄されるありさま。文明が崩壊した後のリングワールドの社会。大虐殺というか、スパスパ切れる物質の無造作な扱いとか。最後の宇宙船のリングワールドからの脱出とか。見所は多いし、ディープなSFファンには軌道の計算とか、色々と考察して遊べる世界なんだろうけど、なんかそこまでいかない読み手としては材料がうまく調理されていない感が。
 ティーラ・ブラウンなんかも、「成長」のためにさっくりと物語から放り出されるし。リングワールドの世界もごく一部をフライサイクルで飛び越しただけだしな。いや、おもしろいんだけどさ。