笹本祐一『ハイ・フロンティア/ブルー・プラネット:星のパイロット3』

 『星のパイロット』シリーズの5冊目、6冊目を一冊にまとめて再刊したもの。
 前者は制御を越えて暴走したコンピューターのヘッジファンドシステムが、航空宇宙産業にちょっかいをかけてきたので、撃退する話。人を動かして、武力攻撃までおっぱじめるところまでは行かないけど、今現在、金融市場で動いている自動取引システムの跋扈ぶりを考えると、あんまりシャレにならないなあという感じが。テスト飛行中に戦闘機の襲撃を受けるところから、電脳戦、最後は静止軌道上の衛星ぶっ壊しと、話の展開がすごいな。戦闘用船外活動機動ユニットがおもしろい。
 後者は、軍事機密の太陽系外地球型惑星発見衛星からデータをロードしたため、軍総出で追っかけられる話。こっちも、昨今のスノーデンによる暴露なんかを見るとシャレになってないな。あと、太陽系外の地球型惑星もちょろちょろと見つかり始めているし、出版から10年以上経つんだなあと。
 個人的には、この地球型惑星の発見を秘匿するというアイデアがよく分からないのだが。隠しても意味がないというか、現状維持を考えるなら天文学の発展を妨害する方がよかったんじゃねと。あと、酸素がある惑星なんかだと、先住の生物をどうするか、保護か、人間のためにいじるかを考える必要があって逆に面倒くさいのではなかろうか。地球の生物に有害な生き物がいる可能性が高いわけで。あと、どちらにしろ人類が進出するには、光年単位というとんでもない距離を乗り越える必要があるわけで。