川口士『星図詠のリーナ』

星図詠のリーナ (一迅社文庫)

星図詠のリーナ (一迅社文庫)

 腐海の底からエクスプレス、3弾。
 まあ、それほど古くもないが。それでも2009年刊という事は、4年前か。惜しくも三巻で終わってしまった地図ファンタジー。同作者の『千の魔剣と盾の乙女』で、これとの関係が示唆されていたので、召喚。ホルプって、ダールの腕に憑いてたのが成長した後なのかね。とすると、『千の魔剣と盾の乙女』の10巻で言っている「竜使いの戦士」がダールで、「竜を導く力を持つ娘」がリーナだったりするのだろうか。で、大陸の形が変わってしまうと。
 大陸を統一しつつある新興の強国イーデンの第五王女リーナは、専門家顔負けの測量の技術を持ち、お忍びで王宮を抜け出すおてんば王女。父王に命じられ、マジェクという港町の測量に向かう途中、野盗に襲われ護衛が倒れる中、腕利きのダールに助けられる。護衛が減ったのを補うべく、ダールを雇い、マジェクへ赴く。
 地図制作から事件が動いていく、話の組み立てが楽しい。あと、リーナが顔を突っ込んで歩く、人々の生活感の描写が見事。しかし、地図を旧態のままにし、その分の税金をだまし取るということは、イーデンという国は人頭税を財政の基礎とし、それを地元の商人に請負に出しているという財政構造なんだろうな。