雨木シュウスケ『マテリアルナイト:少女は巨人と踊る』

 『鋼殻のレギオス』の作者のデビュー作。10年前か。デビュー作にして、十分こなれている感じだな。そこはかとなく、スチームパンクっぽい雰囲気の漂うファンタジー
 その世界では200年ほど前の歴史が空白になっていて、「レスフォールの遺産」と呼ばれる超兵器だけが残されていた。その超兵器である「ドラグ・ヘッド」は人と同じ姿かたちをし、心を持つが、圧倒的な速度と攻撃力をもつ存在。主人公レアナは、良家の令嬢にして、ドラグ・ヘッドの中でも最強の一人であるイェンの主人となっている。彼女は、祖父の報告書から、何らかの異変があることを知り、屋敷を飛び出す。
 レアナをはじめ、シィナ、テリードと巨大な力に翻弄される人々が必死に、自分の道を見出そうとする物語といったところか。全体にやさしい空気感があるのが良い。特にラスト。