竹林七草『猫にはなれないご職業 2』

猫にはなれないご職業〈2〉 (ガガガ文庫)

　最初のほうがだるいけど、中盤から尻上がりにおもしろくなっていく。続きは出ないのだろうか。
　前の巻の経緯で、藤里の陰陽師の跡を継ぐことを決意した桜子。経験をつむと称して、怪奇スポットを巡り歩く。とある廃屋に入り込んだ桜子と命は、茉莉という出会い、「鬼を祓ってくれ」と頼まれる。猫又陰陽師のタマと桜子の親友の命の視点から語られるお話。中心人物のはずの桜子が終始蚊帳の外で展開するというのが興味深いな。常に、周りの人間は桜子を守ろうと行動する。
　「千里眼」の少女と、彼女の能力をめぐる親子の感情の軋轢。さらに、鬼が絡んでくる話。最後はきれいに終わって、本当に良かったで。そして、「藤里の七代目」であり、強力な霊力を持ちながら、見鬼の才をまったく欠如している桜子。それがどういう意味を持つのか。気になる。
　しかしまあ、桜子、命、緋乃香と、出てくる女性陣がことごとく残念なのがなんとも。桜子にいたっては、天然振りというか、見えてなさが異様。茉莉ちゃんが癒しやで。